境界条件
7-1.境界条件
境界条件は、解析領域の端面に与えられる条件のことです。境界条件には、速度境界、圧力入口境界、圧力出口境界、壁面などがあります。
7-2.壁面
壁面は、流体の流れを制限する境界です。
壁面のオプションには、「すべりなし」「すべり壁」「直線移動壁」「回転移動壁」があります。
すべりなしは、壁面で流体の速度がゼロになることが仮定されます。
すべり壁は、壁面で流体の速度がゼロではなく、壁面に沿って流れることができます。
直線移動壁は、壁面が一定の速度で直線的に移動する境界です。
回転移動壁は、壁面が一定の角速度で回転する境界です。円筒形の物体の周りを流体が流れる場合などに使用します。
7-3.速度境界
速度境界は、境界から垂直な方向に指定の速度で流入する境界です。速度に正の値を入れると流入し、負の値を入れると流出します。
速度のオプションには、「速度」「平均速度」があります。
速度は、境界に垂直な方向に一様流を設定します。
平均速度は、境界に垂直な方向の流れを設定します。速度の値にマイナスを入れた場合にも、不自然な流れになりくい設定です。
7-4.質量流量境界
質量流量境界は、単位時間内に通過する質量を指定する境界です。
圧縮性流体の場合に使用すると、解析が比較的安定しやすいです。
7-5.圧力入口境界
圧力入口境界は、流体が流入する際の圧力を指定する境界です。出口境界でも逆流が発生する場合には、こちらを使用した方が計算が安定します。
圧力入口境界のオプションとして、「静圧」「全圧」が利用できます。
7-6.圧力出口境界
圧力出口境界は、流れ場の出口における圧力を指定する境界です。
圧力出口境界のオプションとして、「静圧」「全圧」が利用できます。
7-7.周期境界
周期境界は、ある2つの面が等しくなるという条件の境界です。流れや温度の分布に周期性が予想される場合に使用します。
周期境界のオプションとして、「並進対称」「回転対称」が利用できます。
並進対称は、周期境界を設定した面に対して、平行移動することで周期的に境界条件を満たす設定です。
回転対称は、周期境界を設定した面に対して、回転することで周期的に境界条件を満たす設定です。
7-8.乱流
物理モデルで乱流をオンにした場合、乱流の設定をする必要があります。
入力する項目は、「水力直径」「乱流強度」です。
水力直径は、断面形状に依存せず、流れの挙動を表すパラメータです。水力直径が計算できない場合には、代表長さを入力して下さい。
乱流強度は、流れの乱れの強さを表すパラメータです。
7-9.熱
物理モデルで熱をオンにした場合、熱の設定をする必要があります。
入口境界で入力する項目は、「温度」です。
壁面では、「断熱」「温度」のオプションを選択して、「温度」を選択した場合には、温度の値を入力します。
現在、熱流束や熱流量のオプションは利用できません。
7-10.ボイド率
物理モデルで混相流をオンにしてモデルを「VOF」「Euler」を選択した場合、ボイド率の設定をする必要があります。
ボイド率は、混相流体中に各相が占める体積割合を表す物理量です。質量の割合と間違えないように、単位がm3/m3になっています。
7-11.スカラー
物理モデルでスカラー輸送をオンにした場合、スカラーの設定をする必要があります。
スカラーは、流体中に含まれる物質の濃度分布を表す値です。
右図のように境界inlet1のスカラー量のinlet1rateを1とすることで、inlet1から入った流体の割合をポスト処理で確認することができるようになります。
7-12.粒子
物理モデルで混相流をオンにしてモデルを「Lagragian」を選択した場合、粒子に関する設定をする必要があります。
粒子のオプションは、「流入」「流出」「反射」からン選択できます。
流入を選択した場合には、粒子が流入する質量、速度ベクトル、時間、粒子径に関する設定を行う必要があります。
反射を選択した場合には、「反発係数」「減衰係数」の設定を行う必要があります。
反発係数は、粒子が壁に衝突したときに、どの程度反発するかを表します。
減衰係数は、粒子が壁に接触したときに、とのていど減衰するかを表します。
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2023年10月19日 更新